銀座のホステスには、秘密がある
「あの、ちょっと話があるみたいで……」
「なんの話ですか?」
「あれ。そのぉ……なんだろうね?」
「二人きりで行くんですね?」
「あ、いや。たまたま、今日はってだけで……」
「分かりました。サラさんは嬉しいんですね。上杉様に誘われて」

普段はおっとりしてる彩乃さんのこんな表情初めて見た。
まるで怒っているみたい。

「そ、そういう訳じゃ……」

アタシが話し始めたのに、クルリと踵を返した彩乃さん。
ツカツカって感じの早歩きでお店に戻っていく。


「・・・・・・なに、今の……」

嫉妬?
どうみてもそうだよね?

彩乃さんも、本気で殿のことが好きだったの?

「はっはは……」

何だ。二人は相思相愛じゃん。
だったらさっさとくっつけばいいのに……
何やってるのよ。

二人してアタシに相談しようとしてるの?
何を迷うことがあるの?
そんなことしてるから、周りが迷惑するのよ!


うっすらと銀座のネオンが揺れている。

アタシは、泣いてなんかいない。
ただ、寒いから涙が出てるだけで……

「良かったね。殿……」

ぶるっと身体が震えた。


これからどんな顔して、殿に会えばいいんだろう……
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