銀座のホステスには、秘密がある
ママが早口で言うから理解できない。
ママの後って何?

「あたしの後を継いで、4代目ママにならない?」

え?
アタシが4代目ママ?

「な、なんの話?」

モンテカルロの?
銀座の老舗の?

「あたしね、そろそろ引退を考えてて。後を任せられるのはサラしかいないと思うの」
「アタシ?え?でも、それは……どう考えたって……」
「先代にはあたしから話すから……」
「ちょっと待って。ママが引退って早すぎない?」

だって、先代はもっと年齢がいってても着飾ってお店に出てたし。

「もう。疲れたのよ。ここで、この人と小さくても心落ち着くお店をやっていきたいなって、最近特にそう思うようになって……」

ママがマスターをチラリと見た。
いやだよ。疲れたなんて言わないで。
普段のママからはそんなこと少しも感じたことなかった。

「ダメだよ。あの店にはママが必要だよ」
「ありがとうサラ。だけどね、あたしじゃダメなのよ。売り上げが落ちるばっかりで……」
「それはアタシのせいだよ。ごめんなさい。もっと頑張る。アタシが頑張るからママはまだいて。辞めるなんて言わないで」

スッと目の前に背の高いマスターが戻ってきた。
その顔が優しく微笑んでる。
ほら、ママ。マスターだってママが辞めるのを望んでないんだ。

「ありがとう。でもね、あたしは、ママに向いてる性格じゃないのよ。先代はすごかったんだってつくづく思い知らされる。あたしはね、サラ。あなたがお店に入ることを最後まで反対してたの。でもね、サラは大丈夫だと言い張ったのは先代。そのために自分は引退しても構わないって……先代はあなたの素質を見抜いてたのね」

え?先代が引退したのはあたしのせい?
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