タカラモノ~小さな恋物語~
脳裏にはキラキラと笑顔が輝く宇野さんの姿がよぎった。
一般的に誰がどう見たって、お似合いの二人だと思う。
純粋で、まっすぐで、ケンのことを好きな女の子。
それに比べて、私は…
「あ、雨…」
ポタポタとフロントガラスに滴が落ちる。
早く帰ろう、雨の日の夜の運転は、路面が光って運転がしにくい。
それにしても、今日は雨の予報なんてあったのだろうか。
まるで…今の私の心そのもののような気がした。
宇野さんには何も返事はしなかった。
もうこんな気持ちで彼女と接することは出来ないと思ったから。
次の月曜日まで、ケンとはシフトがかぶっていない。
月曜日には、仲直りできるのかな。
何か宇野さんとのことで報告でも受けるのかな。
そう考えると、また苦しくなる。
もうこんな苦しい思いばかり辛い。
いい加減にしたいと、自分でも思った。
私は静かに車を走らせた。
突然の雨は、強くなる一方だった。