あの日見た放課後の夕日
彼の名前は水速 椎(みずはら しい)。




「ねぇ、なんて呼べばいい?」




私は彼にそう言う。




「好きなふうにいいよ」




「もー、それが一番困るっ」




「知らねーよ、」





「ばーか」





たくさんバカをしたし、たくさんバカを言い合った。




思ってる以上に気が合ったから。




「じゃあ椎君!」




「そんままかよ」




「だってほかに思いつかないんだも…」




「じゃあ俺は未羽で」




「えっ!いきなり呼び捨て!?」




「いきなりじゃなければいいんだ」




「あ、いやそういう意味じゃなくてですね…」




「これけってーだから、文句なし」




「はっ、え!」




「ほら着いたぞ、じゃな」





「あ、うん」




なんだか時間があっという間で。




「なに?悲しいとか?」




「なっ、そんなんじゃないしー」




「素直じゃない奴」




そうボソッと呟いた椎君。




「ふんっ!ばいばいっ!」




私は大きな声でそう言った。




ばいばいとは裏腹に、早く部活終わって一緒に帰りたいって気持ちがあった。




この時だけ、私はずるい子。




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