Cry for the moon
人気のレストランだけあって、ディナータイムは目の回るような忙しさだ。

次から次へと新たなオーダーが入り、休む間もなく手を動かしながら、頭の中は作業の優先順位や効率の良さを考える事でいっぱいで、余計な事を考えなくて済んだ。



ディナータイムのピークを過ぎてしばらく経った頃、やっとバイトを終えて控え室に下がったトモキは、椅子に座りため息をついた。

今日は、ホールにアユミの姿はなかった。

夕べ、あんな形でアユミと別れた事が気になってはいたものの、何から話せばいいのか、これからどうなるのかと考えると、アユミときちんと向き合える自信がなかった。

< 350 / 512 >

この作品をシェア

pagetop