俺と私と制服と。

おっさんの手を掴んで
ホームを歩く。


出来る限りの力で爪を立てながら

「おい!おい!なんなんだ!!」

「こら!離しなさい!」


ジジイの顔も見ずに、足だけすすめる。
怖くないと思ってたのに、
なんか、手が震えてった。

大丈夫。

できるだけ人目につかない場所に
離れ、口を開く。


『オイ。こら、クソジジイ。』

「なっ、なんなんだ!!」

「クソジジイ、お前、こっち黙っとーからって
あんま、好き勝手ごちゃごちゃ言うなよ?
あんまりデカイ声出すなや。
なんのために端っこ連れてきたとおもとんねん。
お前、自分何したか覚えとん?
ちょ、自分の状況把握せえよ、ジジイ」




ジジイの手を思い切り
強く掴んだまま私は続ける。


「オッサン自分のしたことわかってる?
警察いってもええんやで。
ほんなら、オッサン大変やなー。
仕事とか、家庭とかあんねやろー?んー?」

「そっ、れは、、
勘弁してくれ!す、すまん。
ほんの出来心なんだ、、、」

『知るかそんなもん。
出来心かしらんけどそんなお前の勝手で
ケツ触られたらあーしの操が汚れるわ。』

「す、すまない!なんでもする!
警察だけは勘弁してくれ!頼む!」


どうしたものか、、、

警察沙汰になるのはこっちも
いろいろ面倒くさいしな、、、


「んー、、、ほな
1駅やから2万でええわ。
それで勘弁したろ。」


別に金がほしい訳じゃないけど、
これくらいしか私には頭回らん。


「に、2万!?
、、、わ、わかった。」


おっさんなぁ、
って口を開こうとしたその時。




『君、何が2万なんだ。
詳しく話を聞かせなさい。警察だ。』

え?

ん?


、、、はぁ?警察!??




すぐ振り返るとスーツ姿の
若い男の人が立っていた。

『君、その手を離しなさい。』

このクソ警官は私が掴んでる
おっさんの手を見ている。


「お前、アホか?このクソ警官」

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