MAHOU屋
チヒロは素朴な疑問を口にする。


「ねえ、そもそもホントに魔法ってあるの?」


自分が体験したことは<魔法>と呼ばれるものなのだろうか。


「目に見えるものが全てじゃない。だけど、信じる人が、信じれば良い話だ。そうやって世界というものは成り立っている」


デビルは腕を組んで、何度も頷いている。
そして「俺ってなんて良いこと言うんだろ」と自分の発言に酔っ払っている。
チヒロは冷めた視線を送る。
それに気付いたデビルはソラにやるように、チヒロの頭を撫でる。
デビルの顔はあげたてのカラアゲのように、やっぱりカラッとした笑顔だ。


「だから安心しろ、あの部屋がある限り、お前たちは今のままだ」


悔しいけれど、デビルの手が気持ち良くて、チヒロは目を細めてしまった。
何故だか今日は、夢を見ずにぐっすり眠れる予感がした。


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