デスサイズ
「年数の違いはあれど、娘も父親から暴力を受けて苦しんでいたのは同じだ。それなのに、お前は1人で全てを背負ってきたような顔をして悲劇のヒロインぶっている。自分は辛い思いをしたから、可愛そうだから……それを言い訳にして、娘の気持ちを考えもせずワガママを押し通してきた」
「ち、違う…………」
「自分の幸せの為に、娘を犠牲にした……」
「違うわっ!!」
涙を流しながら、みどりは精一杯の大声で反論する。
「みきほが死んだのは仕方なかった! 私は身を守る為に抵抗しただけ! 正当防衛よ!」
「…………」
「返す言葉も無いの? それもそうでしょうね」
黒斗が黙っているのは、自分が正論を言っているからだと思ったみどりの口角が僅かに吊り上がり、更に言葉を続ける。
「子供が親に反抗するなんて、あってはならないこと……産んでやった恩も、守ってやった恩も忘れて私を殺そうとした……そんな悪魔のような子は死んで当然じゃない! 夫にも娘にも恵まれないなんて、可愛そうなのは私……」
ザグッ
みどりの言葉を遮るように、首へ鎌が突き刺さった。
「ギッ、アァ!!」
「それ以上、その不愉快で耳障りな声を出すな」
苛立ちを含んだ低い声で黒斗は言うと、鎌ごとみどりを持ち上げる。
「ヒ、ギ」
宙に浮かぶみどりの首から血が流れ、床に音を立てながら落ちてゆく。