シルビア
時間がない、でも上手く思いつかない。そればかりが焦らせて、余計考えがまとまらなくなる悪循環だ。
仕方ない、今日は他の仕事そっちのけで展示会のことだけ考えるしか……。
「じゃあ、もしよかったらネクサスの商品と組み合わせてディスプレイ考えてみない?」
「へ?」
ネクサスの商品と……って、インテリアと?
考えてみれば合併して同じ会社になったのだからインテリアを備品として借りることも出来るはず。
けど全く思いつかなかったそのことに、思わずまぬけな声が出る。
「ネクサスのテーブルとか棚とか、結構使えそうなものあると思うんだよね。デザインもアンティーク調やロマンティック系っていうの?そういうのもあるし」
「そっか……その方が大きなスペースをしっかり使ってディスプレイ出来るかも。ねぇ!そのインテリア、データだけでも見せてくれない!?」
「もちろん。じゃあタブレット持ってくるから、せっかくだし上のブースで打ち合わせしよっか」
会社の商品で飾れば人の目にもとまるだろうし、うろ覚えだけれどネクサスのインテリアはアクセサリーとも相性が良さそうな印象だ。
それならディスプレイも決まるかも……あ、でも。
「でも自分の仕事あるんじゃないの?なら別にひとりで……」
「いいよ、大丈夫。丁度手も空いてるし手伝わせてよ」
私に本来の仕事があるように、望にだって営業の仕事があるはず。
だけど嫌な顔ひとつせず笑って頷く望に、今だけは素直に「うん」と頷いた。