ユウウコララマハイル
―――めいっぱい優しくしてやろう。


そうしたら、反発や無関心しかできないこんな偏屈な性格も、変わるかもしれない。


人の痛みに気づける人に、なれるかもしれない。


かつての憧れた広瀬のように、無償の優しさを与えられる人になりたい。


今からでも、それは、間にあうはずだ。


ナツミは証拠隠滅とばかりにお湯で湿らせたタオルで古沢の身体を拭き、服を着せる。
ナツミが自由に動かせる下半身くらいだったが。


自尊心の高そうな古沢は、同僚のナツミに保護されたこと、それ以前に酔っ払って公園に寝ていた事実でさえ汚点となるのだろう。
ナツミに後悔はないのだが、同情されて寝たとあっては仕事すらも辞めかねない。
そんなことを泥酔している横顔に思う。
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