気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
「ふうん」

 それ以上何か言われないうちに、凜香はバッグを持って車を降り、先に立って歩き出した。そうしてまずは今開催中のスーパーヒーロー展の会場へと向かう。チケット売り場で透也を振り返ると、彼はわずかに眉を寄せていた。

「こういうの、嫌い?」
「いや、嫌いじゃない。というか、男なら子どもの頃はほとんどみんな好きだったと思うけど」
「でしょ? 私は今でも興味あるわ」

 凜香は大人二人分のチケットを買って、透也と会場に足を踏み入れた。入ってすぐにあるのは、ヒーローの顔出しパネルで、親子連れが列を作って写真撮影の順番を待っている。

(成樹(なるき)くんを連れてきてあげたいなぁ)

 姉の双子の男の子の方がこのヒーローの大ファンなのだ。姉の家でヒーローごっこをしたときの甥の姿を思い出して、凜香はふふっと笑った。

 続く特撮ジオラマでは、ヒーローと悪役との戦いが再現されている。

「わー、すごい!」

 どのシーンで使ったんだろう、などと興味津々で見入る。そのほか、トリック写真を撮影できるブースもあり、悪役と戦ったり、ヒーローと一緒に空を飛んだりする写真が撮影できるそうだ。
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