気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
 凜は受け取ってソーラーカーを片手にのせ、上から下から眺める。

「昨日。リビングで走らせてたら、急に動かなくなった」
「んー」

 凜香は自分のリュックサックから一番細いプラスドライバーを出し、ソーラーカーを裏返して底のねじを緩めた。隙間から覗くと、ゴムタイヤの車軸の根元に糸のようなものが絡まっている。

「ああ、大丈夫、すぐ直ると思う」

 手早く分解して絡まっている長い糸を抜き取り、再びねじを締めた。ソーラーカーを木漏れ日の下に置くと、ゆっくり走り出した。

「わあ! 直った! 凜ちゃんすごい!」
「いつでも直してあげるわよ」

 ショウはソーラーカーを持って日向にあるベンチ目指して駆けていく。

「ショウ、昼ご飯が先だろ!」

 息子を追いかけて父親が走り出し、母親がしょうがないわね、といった表情で苦笑した。

「もしかしてあのソーラーカーも凜香が作ったの?」

 透也に問いかけられ、凜香は彼を見た。

「あのソーラーカー〝も〟ってことは、透也くん、やっぱり朝から私をつけてたんだ」
「つけてたなんて人聞きの悪い」
「いやらしー。変態」
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