気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
 透也の唇が今にも触れそうな距離に近づいた。凜香の唇にかかる吐息があまりに熱くて、頭がクラクラしてくる。

「だって……屋上には私以外誰も」

 いない、という言葉は言えなかった。透也のキスに唇をふさがれてしまったから。凜香に何か言う隙を与えず、透也は凜香の唇の隙間から舌を差し込んだ。

「んあ」

 驚いて凜香の口から変な声が漏れた。口の中を舐め回されて、背筋がビクリと震え、鼓動がどんどん速くなる。透也の柔らかな舌が、体と同じく硬直している凜香の舌を探り出し、絡め取った。それを吸われて、チュッと音を立てられ、凜香は恥ずかしくなって目を閉じた。

「凜香……」

 透也がささやくように名前を呼んで、彼の手がTシャツの下に潜り込んだ。ほてった凜香の肌に大きな手のひらがしっとり触れたかと思うと、ブラジャーのカップを包み込む。

「ひゃ」

 どう反応していいかわからないうちに、彼の手が肩紐をずり下げ、素肌に触れる。

「んんっ……」

 彼に柔らかく撫で回されて腰の辺りがざわめいた。甘くてもどかしくて……でも、嫌じゃない。嫌じゃないどころか……嬉しい。胸がキュウッと締めつけられて、体がどんどん熱くなる。
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