まだ一緒にいたかった。




結局教えてくれないまま、数時間電車に乗ったあと、知らない駅で降りる。


「どこ?ここ。」


「いいとこ。」


何回聞いても“いいとこ”としか言ってくれない。
だから、あたしは聞き出すのを諦め、黙って永真に手をひかれる。

しばらく歩くと、見渡しがいいところにつく。
少し山に入ったところで、人は全然いない。



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