恋愛ドクター“KJ”

理性 Vs. 感情

 ゴクリっと、大好きな三ツ矢サイダーをひとくち飲んだKJは、いつものやさしい口調で話を進めた。

 「さっきの、教室でのジャンケン・ゲイムだけど、アスカは最初に何を出したか覚えてる?」
 KJがそう訊ねると、
 「え~? 何だったかな。パーだったかな。 
 あれ? えーっと。 
 そうそう。グーよ、グー」
 アスカにとっては思い出したくな記憶だが、何とか、最初にグーを出したことまでたどり着けた。

 「そうだね。アスカはグーをだしたんだ。僕はパー。
 じゃあ、なんで、アスカはグーを出したの?」
 それがKJの次の質問だった。

 「何でって、そんなの意味なんてないわよ。
 ただ何となく、グーを出しただけだし‥‥」
 その答えは、誰もが感じるままのものだった。
 それ以外に答えがあるはずもない。
< 19 / 59 >

この作品をシェア

pagetop