恋愛ドクター“KJ”
 ふと周りを見渡すと、ついさっきまでは明るさの残っていた池袋の街並みが、今ではネオンや街灯で賑やかになっていた。
 時刻を確認すると7時半を回っている。

 「あっ! もうこんな時刻だ。
 あの二人、まだレストランにいるかな?」
 一也が少し心配そうに言った。

 「だいじょうぶだよ。あと30分もすれば、彼女が一人で公園に来るから」
 前にもいった言葉を、ここでもKJは繰り返した。

 「そうかもしれないけど。俺心配だから、入り口の近くで見張ってるよ」
 そう言うが早いか、一也は林ビルに向かって走り出した。

 「ねえ、KJ。本当に彼女が一人だけで公園に来るの?
 どうして、そんなことが分るの?」
 これまで、いくつもの不思議な話の説明を聞いたアスカにも、それだけは納得できないという表情だった。

 「ああ、必ずくるよ。彼女一人でね」

 忘れていた三ツ矢サイダーをここで一口飲むと、KJは、そう断言する理由を説明し始めるのだった。

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