獅子王とあやめ姫
フィストス様と並んでその厳格さで知られているトリーフィアだが、何故かロファーロには甘い。

「何度も言っていますが様付けはやめてください…。ところで、イゼルベラ様のご機嫌はいかがですか?」

「ええ、あんまりよろしくないわ。」

 ほんの少しだけ顔を曇らせたトリーフィアを見て、ロファーロはほくそ笑んだ。

 (あの王女も、駒になるかもしれないな。)

 それには全く気付かないようすで、いつもの調子でトリーフィアは続けた。

 「ところで、久しぶりにあなたの顔を見たけど、男前になったわねぇ___。」

(これは長くなるな……。)


* * *


「さて、どうしようかな……。」

周りに辟易し、朝から打ちひしがれていたイーリスだったが、身に余るほどの豪勢な朝食を平らげてしまうと少し気分が晴れた。

雲の中にいるような心地がする寝台からそろりと足を出し、ふかふかの絨毯に足を下ろす。

(真っ白なふわふわの寝台に、高そうな素材の絨毯。すべすべの木で出来た箪笥。)

まだ少し痛む足を動かし、豪華な部屋の家具をひとつひとつ見て回った。

「わぁ…!」
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