君の隣
ヤな奴!




しばらく経った頃・・・。



松下村塾へ行くと、私の定位置に、一人の男が座っていた。



なつ「すみません。そこを譲ってくれませんか?」


すると、男はチラと私を見て、プィっと顔を背けて、無視をした。


なっ・・・。無視!?


なつ「退いて下さい!そこは、私の席です!」


「おなごごときが、兵学なんぞ学ばなくて良いであろう?」



なつ「学ぶのに、男も、おなごも関係ありません!」



私は、無理やり、その男と先生の間に座った。



「おーまーえぇぇぇ!」




この人・・・。そうだ。大組の嫡男だ。





今度は、私がプィっと、顔を背けて、無視をした。



すると、男は、私の肩を掴み、自分の方へ向かせた。



なつ「何するんですかっ!」


「お前が入ってくるからだろっ!しかも、無視をするなっ!」





なつ「あなたが、最初に無視をしたんですっ!それに、私は、最初に、退いてと言いました!」



高杉「俺の名は、高杉 晋作だ!お前に、あなたと言われる筋合いはない!無礼者!」



なつ「あっそ。た・か・す・ぎ!」


高杉「なっ・・・!お前はっ!もっと無礼ではないかっ!お前、名を名乗れ!」



なつ「私の名は、なつです。ここの塾に入塾したの?まぁ宜しくね?」



高杉「お前・・・。どこの者だ!?」



なつ「高杉に教えてやる義理はない!大組の高杉家の嫡男サン♪」



久坂「っぷ。あはははは。お前ら、仲が良いな。」



高杉・なつ「良くないっ!」



全員「あはははは。」



なんっっなの。コイツ。


腹立つ~~!



それから、毎回のように、私と高杉は、松陰先生の隣の席を争った。




高杉「お前っ!また!退け!男女っ!」



なつ「うるさい!ワガママ男!高杉に言われたくないっ!」



高杉「お前がおなごとか有り得ん。そんなんじゃ、嫁の貰い手なんかないだろ?」



なつ「私は、あんたみたいな容姿しか見ないカスッカスの男には興味ないの!」



高杉「お前、俺をバカにしてるのかっ!斬るぞ!」



なつ「お前なんぞに斬られるかっ!」


高杉「何だとっ!」



松陰「そろそろ、始めても良いかな?」



なつ「すみませんっ!こんな奴、放っておいて始めましょう!」


高杉「オイコラ!こんな奴とは、何だっ!」


なつ「高杉、うるさい!私は、あんたと喧嘩するためにここに来てるんじゃない!黙れ!」


高杉「その言葉、そっくりそのまま返す!」



・・・とまぁ、こんな調子で、毎日を過ごしていた。












そして、しばらく経ったある日、私は、花街の女将さんに依頼を受けた。







< 6 / 135 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop