明日晴れるといいね!
16
涼子がテルを入れてきた。
 「なにしてる。ちょっと付き合わない。」

 美和は待ち合わせ場所へと向かった。
 「よう久しぶり。元気だった。今日はごめんね忙しいのに」

 涼子がそう声を掛けてきた。
 「いいえ、誘ってもらってうれしいです」
 「欲しいギターがあってさ。一緒にみてもらいたくて。」

 涼子と美和は楽器店に入り多くの楽器が二人を出迎えた。そういえば美和も長い間小さい頃から弾いていたピアノも最近は手も触れていないのを思い出した。目の前に置かれているグランドピアノに何気なく手を伸ばした。鍵盤の前に立つと手が自然にその上を走る。

 「なになにうまいジャン。ピアノ弾けるんだ。」
 涼子が嬉しそうに言った。

 「すごい。何でもできるんだ」
 「ちょっとならっただけだから」

 「今度、私の曲作って」
 「え、でも作曲とかしたことないし」
 
「いいよ、また気が向いたときで」
 そういうと涼子はギターのあるところへ美和の手を引いた。

 そこにはマーチンやギブソンといったギターの名品が並んでいた。
 「だめ、とても手がでない」

 そういって涼子は中の一本の弦を弾いた。
 「あのー私にもギター教えてくれないですか」

 突然の美和の申し出に涼子は驚いた。
 「いいよ、私もいろいろ教わってるし。でも私の指導厳しいよ!」
 「はい、覚悟は出来てます」

 そういって二人は顔を見合し笑った。
 「で涼子さんどれが欲しいんですか」

 美和が言った。涼子は指差し
 「あれなんだけど二桁もしちゃあとても買えないよ」

 二人は店を出て喫茶店に入った。
 涼子はカフェオレ、美和はレモンティ―をそれぞれ頼んだ。

 「でさ、お父さんの消息は分かったの」
 涼子が尋ねた。美和は学校に退職願が届きその消印が九州だったことを語った。

 「そうなんだ。お父さんもだけどその女の子も相当勇気いったと思うよ」
 美和自信そういう見方で相手の女の子の気持ちを考えたこと無かったので少し驚いた。

もし自分が相手の女の子の立場ならどうしていただろう。家を出てまで相手について行っただろうか。

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