都合のわるい女







「あっ、ニッシー発見!
いいとこに来た!」


「だっ!?」



次の講義が行われる一号館に向かって歩いていた俺は、

突如、背後から飛び蹴りを食らわされて、思いきり地面にダイブした。



「………いって〜……」


「あっはは!
ニッシー、あいかわらず鈍いっ!」



仁王立ちで俺を見下ろしながら、晴れやかな笑顔を浮かべているのは、



「………タカハシ!
いきなり何すんだよっ!」



都合の悪い女、タカハシだ。



俺たちは学部こそ違うものの、同じキャンパスに通っていることもあり、一日に一度はどこかしらで顔を合わせる。



そして、そのたびに俺は、肘鉄もしくは飛び蹴り、あるいは頭突きを食らわされるのだ。




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