恋する淑女は、会議室で夢を見る


1時半から、また会議だ。
もうすぐ出社する社長を中心に、役員全員とそれぞれの担当秘書が出席することになっている。


お弁当箱を洗いに行くと、

「お疲れさまです」
「お疲れさま」

お昼になって少し落ち着いたのか、
給湯室では杏先輩が自分の珈琲をいれていた。



「社長がいらっしゃると いつもこんな感じなんですか?」

「うーん そうねぇ
 いつも緊張が走るけど
 今回は急だったから特別バタバタしてるわね」

「社長って… 怖い方なんですか?」

「そういう雰囲気の方じゃないわ
 穏やかで素敵な方よ
 ただなんていうか全てを見透かされるような気がして
 そういうところはちょっと怖いかも」

「そうなんですか
 なんか皆さんものすごく緊張されてるから
 なんかもう 私もよくわからないのにドキドキしちゃって」

クスクス

「まぁね、みんな社長の前では絶対失敗したくないし
 秘書としても自分の担当役員には絶対失敗させたくないし
 そういうことがピリピリした緊張感になるのかしらね」




結局、桐谷専務は社長と一緒に1時過ぎに出社した。
既に社長のスケジュールは分刻みで組まれているらしく、早速どこぞの官僚と会食をしてきたらしい。



真優は桐谷専務と挨拶以上の話をする間もなく一緒に会議室に入り、
専務の斜め後ろの席に腰をおろした。
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