恋する淑女は、会議室で夢を見る

「専務…」

「専務じゃないでしょ」

「…ぁ
  は… 遥人さん…」

「なに?」

「こんな大きな料亭、初めてです
 庭もすごく広いし
 部屋もなんだかゆったりしていて
 都内にもこんなところがあるんですね」

「うん、
 ここは料亭旅館だからね」


「旅館?」

「そうそう旅館
 今夜2人で泊まるところ
 温泉もあるし」

「…

 えっ!!!」

「ああ 着替えなら出先から会社に戻る途中
 君の家に寄って受け取ってきたから心配ないよ
 ほら、あそこ ポーターが運んでくれた」

「!

  …いや え?  えええ…?

 いや 聞いてないしっ!
 ママに い…いえ、母に聞かないといけないし
 そんな」
「君のお父さまの出張にお母さまがついていくんだろう?
 お母さまには直接了解を得たから大丈夫」

「えっ!!!」

「葛切り、食べさせてあげようか?」

「!
 
 …いぇ 
   だ だいじょ !」
「遠慮しないで」


キャア



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