恋する淑女は、会議室で夢を見る
 


―― 先輩と桐谷さんに
 挨拶に行ったほうがいいのかな…


就職活動中KIRITANIの面接を受けにいく時に
真優は父に相談した。
父の話では、青木と桐谷はもともと良好な関係だから何も問題はないということだった。


――でもなぁ…


「・・・」


これだけの人数がいれば…

―― ま、いいか
 気づかなかったことにしよう!




 

やがて披露宴がはじまり
来賓の挨拶も済んで、食事と歓談がはじまった。


真優の両脇は、幸いなことに優しいマダムと優しいおじさまだ。
おかげで世間話にも事欠かず
 真優がホッと胸を撫で下ろした時のことである。


「では ご友人の青木真優さまから
 ピアノの演奏があります」

司会者の声が響き、
 パッと真優にスポットライトが当たった。



  … へ?




パチパチと拍手が沸き起こる。


「あら 楽しみだわぁ」 
隣の席のマダムがニコニコと そう言った。


「えっと… え?…」


そんな話は聞いていない。
そもそも真優と新婦とは友人でもなんでもないのだから。


何かの間違いだろうと思ったが、




―― まさか…

ハッとしてひな壇を見ると、
新婦はニヤリと微笑んでいた。




   やられた…


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