恋する淑女は、会議室で夢を見る



*...*...*...*...*






 桐谷遥人は二人いるのか?



次の日、
何度目かのプロジェクトチームの会議があった。



滞りなく会議は終わり、
ワラワラと会議室を出て真優は廊下を右へ進んだ。

右には階段があり、
働きバチの社員たちは一つ下の階の住人なので階段を使う。

そして桐谷遥人たち重役は 
廊下の左にあるエレベーターで、ずっと上の階へ行く。



「ねーねー
 桐谷さんって ほんと素敵よねぇ~
 ちょっと冷たいあの視線も なんだか堪らないわぁ」

「ほんとほんと
 全身からこぼれるような あの品の良さ
 やっぱり御曹司はオーラが違うわね~」

「恋人とかいるのかしらぁ
 きっと いるわよねぇ」

女子社員が小声でキャーキャーと盛り上がっている。





真優はそんな会話に参加することなく
ムッとして階段を駆け下りた。



「・・・」


会議に出席した桐谷遥人は、
週末の桐谷遥人とは別人としか思えないほど、真優を見る目も今日は冷やかで

まさに氷の王子そのものだった。



二重人格め


―― あれじゃ、ネックレスのお礼も出来ないじゃん。

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