笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
「陽泉、恋愛に関しては、かなり鈍感みたいなので…。
でもちょっと、佐々木くんが可哀相かも」
「……紗英ちゃんはさ、佐々木の心配よりも自分の心配をしなさい。
佐々木が陽泉ちゃんを好きだからって、陽泉ちゃんには彼氏がいるんでしょう?そして、それを佐々木も知ってるんでしょう?
勇気を出して、佐々木にアタックしてみたら?」

勘の鋭い田島さんには、私の気持ちもバレてたみたいだ。

そう…
私·青山紗英の好きな人は、佐々木稜くん。
その佐々木くんの好きな人が、私の親友·小野陽泉だ。

「…アタックなんて無理ですよ。
佐々木くんはあんなに陽泉を想っているし、陽泉と彼氏も、今、微妙みたいだし。
上手くいけば、佐々木くんと陽泉はくっつきますよ!
私も、それがいいと思ってますから…」
「ふーん。紗英ちゃんがそう言うならいいけど」
課長に睨まれてしまい、田島さんとの話はそこでおしまいになった。

その日、私と田島さんは昼間のおしゃべりが効いて、しっかり残業になってしまった。
そして、定時を30分ほど過ぎた時、
「陽泉、終わった?
じゃあ行こうか」
佐々木くんが陽泉を連れてオフィスを出ていく。
私はただ、2人の後ろ姿を見送ることしか出来なかった…。


< 136 / 250 >

この作品をシェア

pagetop