笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
陽泉がうずくまる時は、女子に何か、イヤなことを言われた時だ。
だけど今日は、同期の集まりだろう?
同期の女子は、さきほど電話をくれた青山さんとヒナの2人だと聞いた。
すると、青山さんに何かを言われたのだろうか?青山さんと話しをした限り、そんな人には思えないのだけど…

店の駐車場に車を停め、教えてもらった個室へ急いだ。
「ヒナ、大丈夫か?」
そう言って個室を開けたが、ヒナの姿はない。
その代わりにそこにいたのは…
「…えっ?…なんで美咲たちが…」
そう…
美咲をはじめとするサークルの女子たち5人。

「あれっ、祐介くん。どうしたの?」
「えっ?吉田さん?美咲さんのお迎えですか?」
「…いやいや。今、ヒナって言いませんでしたか?」
「えっ…?どうなっているの?」
「吉田さん?美咲さんを迎えにきたんじゃないんですか?」
「"ヒナ?"って、どういうことですか?」

口々に言う彼女たち。
俺も、わけが分からなくて混乱しかけていると、隣の部屋との仕切りのふすまがそっと開いた。
そして、
「…吉田さんですか?
電話をした青山です。
私、慌てて部屋の場所を間違って教えてしまったみたいで…ホントすみません」
そう言う女性。

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