笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
やっと意味を理解すると
「あっ…、いえ…。
えっと、ヒナは?」
そこで、壁に背中をつけてうずくまっているヒナに気付き、そばまでいくと
「…ヒナ、どうした?
大丈夫か?」
と、そっと抱きしめた。

「んっ…、祐介?
ごめん。…あんまり大丈夫じゃないかも…」
そう言って、俺にもたれかかるヒナ。

どうしたんだ…?
一体、何があったんだ?

すぐに青山さんが説明してくれた。
「私たち、ここで飲んでたんですけど、途中で陽泉、元気がなくなってしまって…。
たぶん、隣の部屋のお話が聞こえたんだと思います」

"隣の部屋"って、美咲たちか?
何を言っていたんだ?

「…隣の部屋…って、どんな話しですか?」

青山さんと、美咲たちを交互に見ながら、青山さんに尋ねた。

彼女は遠慮がちに、それでもしっかりと
「…私も、途切れ途切れにしか聞こえなかったのでハッキリとは言えないをですが、…たぶん、陽泉の…悪口?」
そう答えた。

「あぁ。あの隣が言っていた"ちょっと綺麗なだけな人"や、"バスケが上手いだけ"の"図々しい人"って、陽泉ちゃんのことなの?」
青山さんと一緒にいた男性の1人が続けて言う。
すると、ヒナが震え出す。

なるほど、そういうことか。
だからヒナが、こんな状態なんだ。


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