笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
俺は美咲たちを睨みつけながら、ヒナを強く抱きしめ、
「ヒナ、大丈夫だから。
俺がついているから」
と優しく声をかけ、彼女の髪を撫でた。
ヒナは、俺にしがみついてくる。
こうしていると、ヒナが俺にとって、すごく大切な存在だと分かる。
美咲にフラッとして、ヒナを不安にさせとしまったこと、本当に悪かったと反省する。

俺がヒナを抱きしめたままなのが気に入らないのだろう。しびれを切らした高城くるみが、
「祐介先輩。いつまでその人のそばにいるんですか?」
と言い出した。

俺は高城を無視して青山さんに、
「このままヒナを送って行けばいい?」
と尋ねた。
青山さんに、
「はい、よろしくお願いします」と言われ、
「じゃあヒナを車まで運ぶので、青山さんはヒナの荷物をお願いします。あと、車のキーを開けてもらえると助かります」
そう言って、車のキーを預けた。
「分かりました」
青山さんが受け取ると、
「ヒナ、ごめん。ちゃんと俺につかまってて」
そうヒナに声をかけ、首と膝の下に手を入れて抱き上げた。いわゆる"お姫様抱っこ"というやつだ。
ヒナの同期の男性陣からは「おぉー」と言われ、
サークルの女たちからは冷たい目で見られる。

「ちょっと待ってください、祐介先輩!美咲さんはどうなるんですか?」
そう言ってきたのは高城だ。


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