笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
「いや。今日、梢に聞いたんだよ。この大会で優勝したら、稜と結婚するって。
いや、ホント良かった。稜も、ちゃんと梢とのことを考えてくれていたんだな!」
そう上機嫌で話す悟さんに、
「ちょっと待ってください!
俺と梢の間に、そんな話はありませんから!」
そんな俺の声は全く届かない。
それどころか、
「いや。稜が義弟になるんだもんな!」
と、どこまでも話が飛躍する。
俺は梢を睨みつけた。
彼女はわざとらしく俯くが、その口元は笑っている。
悟さんがトイレに立ったときに、
「…どういうつもりなんだ?」
と梢に聞くと、
「いいじゃない?
あくまで富士中が優勝したらの話なんだから。あの子たちに勝てるチームがあればいいのよ。
例えば…陽泉ちゃんの弟くんのチームとか?」
笑いながら言うが、その目は笑っていない。
「稜くん、ちょっとだけ指導してたんでしょ?いいチームだって言ってたじゃない?」
「……………」
「それにね。今日、久しぶりに陽泉ちゃんとお話したよ。
もちろん、私が稜くんとお付き合いしてることも話したからね」
「……………」
「……………」
「なぁ梢。
お前、何がしたいんだ?
何をされても、俺はお前とは一緒にならないよ。
悟さんにも、ちゃんと話をするから」
俺はそう宣言した。


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