笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
焼鳥屋からの帰り、俺は悟さんに話をするが、酔っている彼には、なかなか話が通じない。
押し問答の末、悟さんが
「はっきりしろ、稜!」
と言ったとき、
「「えっ、稜?」」
と言う声が聞こえた。

すると、「なんだぁ、誰かいるのかぁ?」と返事をする悟さん。
俺も悟さんと一緒に公園に入り、その声の主を確認する。
そこには、「あれっ?田村さんに愛美さんに、青山さんに郁海も?
みんな、拓海の応援?」
その4人のほかに、陽泉と吉田さんもいた。

それからは悟さんと吉田さんが互いに挨拶をしたり、俺と陽泉と青山が同期だったと言う話になったり…。
その流れで、陽泉と梢が友達だとなり、梢が"富士中が優勝したら、俺と結婚する"と言った頃から、話がおかしくなった。
なぜか、陽泉に対していい感情を持っていない梢は、彼女に対して言ってはいけない言葉を投げたらしい。

『陽泉ちゃんなんか、ちょっとかわいい、バスケットが上手いだけの女の子じゃない!』

その言葉を聞いた陽泉は、地面にしゃがんで耳を塞いだ。
「悪い、稜。
陽泉を宿まで送ってくれないか?フロント前で待つように、拓海に連絡を入れておくから」
陽泉を心配した田村さんに、そう言われた。
郁海がすぐさま拓海に連絡を入れた。

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