笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
郁海の電話が終わると、田村さんは俺に、
「こっちはちゃんと話しをつけておく。稜の悪いようにはしない。
だから、陽泉を頼む」
そう言って頭を下げてきた。
その隣の吉田さんからも
「…佐々木さん。
ヒナのこと、よろしくお願いします」
と、頭を下げられた。
俺は「分かりました」と答え、陽泉を支えながら歩き出す。

どんな話になるか分からないが、田村さんに任せれば大丈夫だろう。
愛美さんも、青山も、郁海も、吉田さんもついているのだから…





☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

翌日。
俺は悟さんから、
「稜と陽泉さんの話は、田村さんたちから聞いた。梢との結婚の話は、もちろんなしだ」
そう言われた。
「ありがとうございます」
答えた俺に、
「あと、俺は来年もこのチームのコーチを続けるつもりだ。
だけど稜。お前はこの大会が終わったら、好きなようにしていいから」
「……………」
「…最後、優勝して終わりたいけど、あちらのチームは強そうだな」
そう言う悟さんは、ちょっと淋しそうだ。

その後俺は、梢にきちんと話しをつけた。
陽泉と再会した今、これ以上、自分の気持ちを殺して梢と一緒にいることは出来ない。
すぐに梢は承諾してくれて、「陽泉ちゃんと幸せにね」と言ってくれた。
いろいろあったけど、大会最終日、陽泉にもう1度想いを告げる体制は整った。

そしてやはり、男子の決勝は富士中と拓海たちのチームの対決になった。




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