笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
彼の唇が私の耳元に移動して、「ヒナ、大好きだよ」と甘く囁く。
そのまま耳たぶを甘噛みし、私の腰を支えていた右手は服の中に入り込み素肌を優しく撫でる。

…このまま、雰囲気に流されてしまえばいいのかも知れない。
でも、私にはそれが出来ない。

服の中の裕介の手を抑えると、甘い空気を壊すように「裕介やめて!」と、低い声で言った。

その声に、すぐに私から離れる彼。
私は乱れた服や髪を直すと、「…ごめん。帰るね」と、バックを手に持ち彼に背を向ける。
時間は22時を過ぎていた。

「…ヒナ、ごめん。
俺、急ぎ過ぎてるって、分かってはいるんだ。だけどヒナが好きだから、触れたいし、抱きたい。
…でも、ヒナが同じ気持ちになってくれるまで待つよ」

玄関に手をかけた私に、裕介が言う。
私はそのまま彼の部屋を出た。

自分の車に乗り込むと、自己嫌悪が私を襲う。

…どうして彼に、身を任せられないんだろう?
…どうして彼を、信じられないんだろう?

思い出すのは、学生時代の友達との恋バナ。

"それまでは色んなデートを楽しんでいたのに、エッチしたら、どこにもデートしないで、彼の部屋でエッチするだけの関係になっていた"
"何ヶ月で身体を許すか、男友達の賭けの対象になったいた"
などなど…


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