笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
「えぇっっっ!
あの、鬼の田村コーチが結婚!?」

愛美先輩と私の話を聞いて驚きの声を上げたのは郁海。
田村コーチは、どちらかと言えば男子をメインに見ていて、だから当時キャプテンを務めていた郁海なんかは、誉められることよりも注意を受けることの方が多かった…らしい。
今年キャプテンになった拓海にも、
「田村コーチは厳しいからな!特にキャプテンには!」
と言っていたっけ。
でも。
だからと言って、その田村コーチの婚約者と言う愛美先輩に、そんな言い方はないと思う。
まぁ、私もビックリしたけど。

先輩は、ビックリして郁海を見てる。
それもそうか。
初対面だもの。
私は郁海と愛美先輩を、お互いに紹介した。

「先輩、驚かせてすみません。
さっきの、私の2つ下の弟なんです。
ミニバス時代、田村さんに指導して貰っていて…だから、結婚すると聞いてビックリしたみたいで…。
ちなみに今、下の弟も田村さんに教えて貰っています」
「あ~、拓海くん?
そっかそっか。
拓海くん、名字は小野だもんね。
ガードとしての強気なプレーが陽泉に似てるなぁと思ったら、弟だったんだ。じゃあ、似てるはずだよね」

なぜか一人で納得して頷いている先輩。

「あの…」
戸惑いつつ、先輩に声をかけた。
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