残業しないで帰りたい!
彼女たちは俺のことを知りたいと思ってくれていたのかもしれない。
俺は青山さんのこと、もっと知りたいと思う。
だって、一目見ただけで好きになってしまったから、彼女のことをほとんど何も知らない。
知っているのは会社で把握している履歴書の情報と勤務状況くらい。
彼女のことをもっと知りたければ、本人に近づいて仲良くなるのが一番いいんだろうけど、それができないわけで……。
相変わらず消極的な俺は、喫煙室の会話に耳を傾けて情報収集していた。
でも、青山さんの情報ってすごく少ない。
やっと聞けた情報は、青山さんは男を寄せ付けない、というかあえて距離を置くらしい、ということだけ。
それって、まさか……。
もう付き合ってる男がいたりする?
だから、男を寄せ付けないの?
そう、なの?
……どんな男?
いい男なの?
優しいの?
その男のこと、君はどんな目で見つめてるの?
その男は当たり前のように君に触れるの?
君はその男に抱かれてるの……?
……そんなの、考えただけで胸の奥が握り潰されるように痛くなる。
イヤだ!
信じられない。
信じたくない!
本当は男なんていないよね?
そんなの俺の妄想だよね?
君は純真なだけなんだよね?
……本当のところはどうなの?
男がいるのかどうかだけでも、なんとか確かめられないだろうか……。
でも、確かめたくても彼女は喫煙室の話題にほとんど上がらないし、人事課の女の子たちの噂話にも全く出てこない。
青山さん、地味だからなあ……。