残業しないで帰りたい!
だいたいお母さんもお母さんだよ。
遠くから見てるだけなんて、そんなのわかるわけがない。直接声をかけてくれないと、こっちは全然気がつかないよ。
遊馬がこれを見つけなかったら、俺はずっと知らないままだった。ずっと捨てられたと思っていたんだ。
もしもお母さんの気持ちを知っていたら……。
……。
……でも。
俺も、同じだ。
俺も母親と同じ。
遠くから見てるだけ。
俺、このままでいいの?
青山さんのこと、ずっと遠くから見てるだけでいいの?
遠くから見ているだけじゃ何も伝わらない。
彼女はずっと気が付かないままだ。
……。
……俺は。
俺は、お母さんと同じ道を進んじゃダメなんじゃないの?
うん……、そうだよ。
同じ間違いをしちゃいけないんだ。
もしかしてお母さん、それを俺に教えてくれたのかな?前向きに捉えて、そういうことにしておこうか。
なんか、少し頭がスッキリしてきた。
目が覚めたよ。
動かなければ何も始まらない。
気がついてももらえない。
一度動き始めたらもう止められないし、傷つくかもしれない。
でも、もう傷ついても構わない。
俺は今まで自分の時間を生きていなかった。
傷つかないように目の前を流れて行く景色を他人事みたいに眺めるだけだった。
でも、ここからは俺の人生だ。
生身の人間として、地に足を付けて自分の人生を生きていこう。
そして、彼女には俺の人生に関わってほしい。俺も彼女の人生にも関わりたい。
もう彼女を見ているだけじゃダメだ。
覚悟を決めて前に進もう。
そう思ったら急にお腹が空いてきた。