残業しないで帰りたい!

彼女の義理の母親も、悪意に満ちた台詞を吐いて彼女を傷つけるなんてひどい女だ。それなのに、彼女はその女を悪くないとかばった。

本当に心配だよ。
君はお人好しすぎる。
きっと騙される。
きっとまた深く傷つく。

幼い頃の出来事であったとしても、過去の傷はいまだに彼女を縛り続けている。
そう簡単に消し去ることなんてできないんだろう。

何とかしてやりたい。
何とかならないだろうか。

そうは思うけど……。
俺に彼女の傷を癒せるんだろうか。

一生かけても癒したい。
たとえ俺がどんなにそう願っても、彼女は一生その傷と共にあり続け、一生男が怖いままなのかもしれない。

でも、そうだとしてもその過去もその傷も全て含めて、俺は君のことが好きだ。

だから、お願いだから、俺のことは怖がらないでほしい。
男が怖いなら、俺が他の男から君を守る。
一生君を守るから。

俺は君の人生に関わりたい。
君には俺の人生に関わってほしい。

一生君のそばにいたい。

君のことが好きなんだ。

好きだ……。好きだ!
好きなんだっ!

もう、止められないんだ。

そのまま気持ちを抑えられず、運ばれてきた飯を目の前に、呟くように告白してしまった。
君のことが好きなんだ、って。

俺は大バカ者だ。
こんな雰囲気も何も考えない告白、ガキじゃあるまいし、いい歳の大人がすることじゃない。

それに、そんなことを言われても、彼女は困るだけだ。
自分の思いばかりが先行して、彼女の気持ちを考えなかったことをまた後悔した。

告白なんかされて、怖くなかっただろうか?

俺はバカを越えて無様だ。
救いようのない間抜けだ。

こうなったらもう開き直って、無様でも間抜けでも構わないから、自分の気持ちをまっすぐに伝えようと思った。もう選択肢なんかなくて、それしか道は残っていなかった。

彼女にしてみたら、俺の気持ちなんて押し付けられても、重いだけかもしれないけど。

話しかけても、彼女は茫然としたまま反応が薄くて、怖がっているんじゃないかとかなり心配になった。

でも、俺の心配とは裏腹に彼女は意外なことを言い出した。
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