残業しないで帰りたい!
彼女は小学生の頃、男に襲われたらしい。
それを聞いて、やっぱりそうだったかと胸が痛むと同時に、思いのほか幼い頃の出来事だったことに驚いた。
首を押さえられて服をめくられただけ、なんて彼女は健気に言ったけど……。
それだって卑劣な犯罪だ。幼い彼女の心はどれほど深く傷ついただろう。
一生懸命に話す彼女は事件とは対極的に純真さが際立って、そんな彼女を傷付けた男が本当に許せなかった。
子どもの頃の彼女……可愛かったんだろうな。でも、だからって襲うなんて短絡的だ。
許せない……!
その男に激しい怒りが沸き上がり、その男のことを調べようかと思った。
でも、やめた。
その男は今も彼女に付きまとっているわけではないし、それに怒りに我を忘れた俺は、自分でも何をするかわからない。自分にこんな攻撃的な側面があるなんて、知らなかった。
今さら俺がその男に手を出したところで、何も良いことはないし、彼女は喜ばないだろう。
だから自制して、そいつの存在は無視することにした。
それより……。
昨日彼女が倒れたのは、あのチャラい男が原因だと言っていた。
やっぱりそうだったか!
久保田さんにはきつく言っておかないといけない。青山さんを営業の餌にするなんて、ありえないから!
彼女を利用するなんて許せないし、他の男に差し出されるなんて、俺の気が狂う。
彼女は過去に深い傷を負ったんだ。そんな彼女に手出しはさせない!