残業しないで帰りたい!

付き合ってほしいと言った後、彼女があまりに茫然としてしまったから、甘い物でも食べたら少しはリラックスするかな、なんて単純な発想もあってデザートを勧めてみた。

この間も食べたそうにしていたし。

それにこの間、「やっぱり女の子は甘いものが好きなのかな」ってデザートを勧めた途端、彼女は固まってしまった。

あの時はわけがわからなかったけど、女の子としてデザートを食べるのはやっぱり怖かったのかな?

だから、あえてチャレンジした。
俺の前で彼女はデザートを食べてくれるだろうか?俺の前では女の子でいてくれるだろうか?

彼女がうなずいてくれた時、二人の距離が一歩近付いたような気がして、嬉しくて胸が熱くなった。

それなのに。
デザートを選びながら、彼女は突然泣き出してしまった。

なんでっ!?
どうしたの?
無理させた?

最初は怖がられたのかとおろおろしたけれど、それでも俺が触れても平気か試したくて、果敢に手で頬の涙を拭ってみた。

彼女の頬は何度触れてもやっぱりなめらかで、指先がジンと痺れた。

彼女は俺が頬に触れると、驚いてはいたけれどされるがままじっとしていた。恐れたり倒れる気配はない。

俺は触れても平気?
あの男はダメでも俺は平気なの?
俺、そう思っちゃうよ?

泣いているのに、はにかみながら美味しそうにデザートを口に運ぶ彼女は格別に可愛かった。

こんなに見られたら迷惑だろうなあと思いつつ、頬杖をついてじっと彼女を見つめた。

もしかしたら彼女は臆病だから泣いてしまうのかもしれない。

デザートを食べるなんて女の子みたいで怖かった?でも、今回は出来たよね?

君は可愛い女の子なんだ。
もっともっと女の子でいていいんだよ?
だから、一人の女の子として俺と付き合ってほしい。

一歩づつでいいんだ。
ゆっくりでいい。

すぐに答えなくていいから。
君のペースで俺を受け入れてほしい。
< 173 / 259 >

この作品をシェア

pagetop