残業しないで帰りたい!

(6)君は奥さんというよりカミさんだった


年度が変わると同時に、予定通り越川さんは失脚し、松永新本部長体制になった東京本社に俺は呼び戻された。

久しぶりの営業の仕事は面白くてすっかり夢中になった。それに、やっぱり営業課は忙しい。

香奈ちゃんと離れたくなくて横浜から通っていたけれど、朝早く出て夜遅く戻ってきて土曜日も仕事。下手すると日曜日にも仕事が入って、平日どころか週末も香奈ちゃんとなかなか会えない毎日。
これじゃあ、横浜から通ってる意味が全くないじゃない!

電話で声を聞いてもやっぱり寂しい。
こんなに会いたいと思ったことは今までなかった。

会いたくて、恋焦がれて胸が痛くて死にそう。
枕に顔を埋めて息を止めても寂しくて耐えがたい。

香奈ちゃんも寂しい思いをしているんだろうか。こんなに会えなくて寂しい時に、他の男が近寄ってきたら寂しくてなびいてしまったりしないだろうか。

いや、香奈ちゃんに限ってそんなことはない。
信じてる。
信じてるけど……、やっぱり心配。

一緒にいたい。
そばにいたい。
俺のそばにいてほしい。

様子なんて見てないで、もっと早く決断すべきだった。

毎日、朝も夜も香奈ちゃんの料理を食べたい。
食卓で向き合って楽しく話をしたい。
毎晩抱き締めて眠りたい。

だから、俺と一緒に住もう?

俺と、結婚してほしいんだ。

……。

そんなことを考えるだけじゃ進まないわけで。
俺は香奈ちゃんにプロポーズをしよう、と決めた。

……どうしようか。
まずは指輪?

外回りでほんの少し開いた時間の合間を縫って、指輪を見に行った。

きらびやかな店内にはいろんな指輪が並んでいる。こういうのって何を基準に選べばいいのかさっぱりわからない。
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