残業しないで帰りたい!
何しろ高い……。
こういうものは値段じゃない?
そうだよね?
一生に一度のことだし。
一度であってほしいし。
……もし、断られたら?……なんてことは考えない!
だからすぐその指輪に決めてしまった。
指輪のサイズはわからなかったから、店員に彼女の身長と体形を伝えた。
ちなみに香奈ちゃんは自称169センチだけど、本当は170センチ以上ある。前に健康診断の結果を見て落ち込んでいたから体重でも増えたのかと思ったら、そうではなかった。
どうも身長は、毎年若干の誤差があるらしい。169センチというのはここ最近で一番低かった時の記録で、それも169.8。いつもなら170.5とか171.2とか。それはむしろ171センチって言うんじゃないのかな?
本人は気にしているけど、そんなの関係ないのになあ。169だろうと170だろうと171だろうと、俺から見たら君は小さくて可愛い女の子だよ?
そんなことより、俺はコレステロール値が引っかかって落ち込んだ。でも、これは香奈ちゃんには絶対に内緒だ。そんなことを言ったら「卵禁止」なんて言い出しそうだから絶対に言わない。
さて。
指輪、どうやって渡そうかな。
告白した時みたいに何の考えもなくファミレスで、なんて絶対にダメだ。
レストランを予約しようか?それともどこかに小旅行でも行く?……旅行は時間的に無理だから、眺めのいい場所にでも連れて行こうか?
そんなことを考えていたのに。
結局俺は自宅マンションの下でプロポーズすることになった。
もういいんだ。
俺はそういう運命の元にあるんだよ、きっと。