残業しないで帰りたい!

「結婚式に来れば会えるよ」

「……そうだな」

親父、遊馬に会いたいの?意外だな。
本当に親父は何を考えているのかさっぱりわからない。

「……親父、どうして俺たちを引き離したりしたんだよ?」

どうしても聞きたくなってポロリと言葉が出てしまった。今じゃないと聞けない気がした。

「どうしてって……仕方ないだろう?お前の母親も引き取りたいと言って譲らなかった。散々話し合って分けることなったんだ」

「でも、別に親父は俺を引き取らなくてもよかったんじゃないの?」

親父は自嘲するように軽く笑った。

「俺に引き取られたのは不満か?」

「……不満っていうか、そうじゃないけど、親父が俺を引き取る必要性があったのかなって思ってね。特に関わりもしなかったし」

親父はうつむいてため息をついた。
ちょっと言い過ぎた?
そもそもこんな話するの、初めてだな。

そりゃあ大学まで出してもらったから感謝はしてるよ?
でも、親父は金を出しただけだ。俺たちの間に会話なんてほとんどなかった。

そもそも親父は俺と関わろうともしなかった。

「お前も、親になればわかる」

おっと……。
これはまた、意外な台詞。
親父は『親』として俺を引き取りたかった、と?

「それなら、ちゃんと帰ってきて少しでも会話なりすべきだったんじゃない?それに、子どもの前であんなに女をとっかえひっかえしちゃいけないね。教育上、よくないから」

「えっ?あはは、仕方ないだろ、モテたんだから。……あまり家に帰れなかったことは、悪かったと思っている」

へえ……。そんなこと思ってたの?
俺、この人のこと全然わかっていないのかもしれない。

それなら聞いてみたい。
あの時、親父はどんな気持ちだったのか。

「……親父、里美さんに嘘をつかれてショックだった?」

親父は少し驚いて、それから真剣な顔をした。
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