残業しないで帰りたい!

一緒にウエディングドレスを選んでくれた瑞穂さんは、お腹が大きいのに式と披露宴の両方に参加してくれた。

披露宴では旦那さんが隣で心配そうにしていたから、近くに行った時に「無理しないでね」と言うと、やっぱり「お構いなく!」と突っ跳ねられた。
俺たちはずっとこういう関係なんだろうね。

そんな瑞穂さんは、よっこいしょと何度も言いながら旦那さんに手助けされて段の上に立ち、友人挨拶をしっかりと務めてくれた。

そういえば、呼びたくなかったけど呼んでやった新田は、相変わらず狩りをする目で女の子を引っかけていた。
申し訳ないけど、会場の誰か一人はヤツの餌食になったかもしれない。
アイツはこれからもずっとあんなことを続けていくんだろうか。

披露宴は予定通り滞りなく進み、終盤になって、香奈ちゃんはあの美しいウエディングドレスを着て『優香さんへ』という手紙をサプライズで読んだ。

優香さんは香奈ちゃんが手紙を読み始めるとすぐにハンカチで顔を覆い、声を殺してずっと泣いていた。
香奈ちゃんも涙をこぼしながら、時々声を詰まらせて、それでもがんばって最後までその感謝の手紙を読み上げた。

家族って、親子って、不思議だ。

血が繋がっていても疎遠になってしまう親子がいる。一緒に住んでいてもわかり合えない家族もいる。
そして、血が繋がっていなくても強い絆と情で結び付いている親子もいる。

俺達はどんな家族になろうか?

俺は何でも遠慮なく話し合って、時には喧嘩もして、そして仲直りして、ずっと幸せにのんびり暮らしたい。

子どもは、いたらそれはそれで嬉しいけど、しばらくは香奈ちゃんと二人きりで過ごしたいなあ。

そう思っていたんだけど……。
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