残業しないで帰りたい!

それにしても、やっぱり女の子は藤崎課長みたいなイケメン王子との恋に憧れるんだね。

白石さんも両手を握って赤い頬で「超胸キュンだよ!」なんて何度も連発して。

胸キュンねえ……。

俺だって君が倒れたら一直線だよ?大事に抱き上げるよ?

……そうは言っても、俺は君の王子様じゃないんだろ?
どうせ俺は胸キュンなんかとは無縁の男だよ。

半ばふてくされながら、俺がコンビニで買ってきた弁当を袋から出すと、白石さんもつられたように弁当箱のフタを開けた。

弁当の白飯を口に運びながら、白石さんの弁当をチラ見する。

赤いトマト、黄色い卵、緑の野菜、野菜を肉で巻いたヤツ。色とりどりでバランス良さそう。

「白石さん、弁当は自分で作ってるの?」

「そうだよー」

「ふーん。うまそうだね」

白石さん、料理するんだ。……可愛いな。
料理をしている白石さんの姿を想像しただけでドキドキする。

「……」

白石さんは箸を持ったまま、しばらくじっと自分の弁当を見つめていた。

ん?
どうした?

「……じゃあ、あげるよっ」

「え?」

「私のお弁当、あげる!その代わり、峰岸君が食べてる弁当と交換して」

急に何言ってんだ?

「俺、この弁当ちょっと食べちゃったぞ?」

「いいよ、そんなデカい弁当、私全部は食べられないから」

白石さんはそう言いながら、なぜか怒ったような顔をして強引に俺の弁当を奪い、彼女の弁当を押し付けてきた。

どうしたの?

どういう風も吹き回し?
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