残業しないで帰りたい!

今の彼と付き合う前、私は妻子ある年上の男と暮らしていた。

ちなみに、香奈は前の彼のことは知っているけど、既婚者だったことは知らない。
なんか、ショック受けちゃいそうで言えなかった。

彼も最初、結婚していることを私に言わなかった。

聞かれなかったからって言われてしまうとそれまでなんだけど、指輪はめてなかったら、普通はわかんないよ。
見た目もそんな感じじゃなかったし。

彼はバーテンをしていて、15も年上には見えなくて、すごくかっこよかった。

私はかっこいいバーテンを見たいっていう、ただそれだけの理由でバーに通ってたんだけど、そんな私に彼はすぐ目を付けた。

彼はいつも通りちょこっと遊ぶだけのつもりだったんだろう。

私も引っかけられたのが面白くて、ちょろっと付き合うだけのつもりだった。

でも、私は妊娠して、そして流産した。

この出来事は、自分が考えていた以上に強烈なダメージを私に与えた。想像以上の衝撃に、私はしばらく立ち直れなかった。

そして、私も傷付いたけど、彼も強いショックを受けたようだった。
15も年下の若い女が妊娠して流産したんだから、責任を感じたのかもしれない。

私はしばらく体調が思うように回復しなくて、動くこともままならず、しばらく派遣の仕事を休まざるを得えなかった。

流産のことはママにも香奈にも、彼以外の誰にも言えなかった。彼はそんな、誰にも頼れず動けないでいる私のそばいてくれた。

香奈は体調の悪い私をすごく心配してくれたけど、彼がいつもそばにいるのを見て、気を遣って家に来ることはなく、電話だけ頻繁にかけてきてくれた。
そんな香奈の電話には、本当に救われた。

そして、収入面で困っていた私は彼を頼るしかなかった。

彼との生活は、幸せというより、いてくれて助かるという感じだったのかもしれない。
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