さくら


「オレかて覚悟を決めた、今度はお前が覚悟する番や」

「でも、しーちゃん・・・・・もし貴子おばさまが他の親戚にも言ってみんなしーちゃんから離れていったら・・・・・」

「構へん、お前さえ手元に残ったら」

きっぱり言い切る。


こんなに愛されていた。

15年前、この家に来たときからずっと守られてきた。兄妹のように過ごした日々、ずっとずっと妹でいようと決めていたのに、愛情は形を変え、想いは深くなり、予想さえしなかったのに志信から恋情を向けられた。


神様、


もしこの幸せに罰があるのなら、全てわたしが背負います。だからこの手を取っていいですか?

誰かを不幸にするかもしれないけれど、この人の隣でこれからも日々を重ねていいですか?


それは桜子の願い、桜子の祈り。


桜子が志信の首に縋り付く。
志信が桜子の涙が流れる頬に唇をつけ、ベッドにゆっくりと横たえた。


とろりと蕩けるように笑う志信。

額にかかる髪をかきあげ、そこにも唇がつけられる。
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