さくら


「何を言うてはるんですか。夜中でも休日でも嫌がらんと将太を診てもろて感謝してるのはオレの方です。このくらいのことさせてもろて当然やから」

達也が明るく返す。

「達也さん、終わったらお茶飲んでってね。リビングに用意しとくし」

チャコールグレーのAラインのワンピースを着た桜子が聡志の部屋に顔を出す。

「お、なんや桜子、可愛いカッコして」

「桜ちゃん、今日はデートなんや。志信の友達と」

「デートかあ、そらええわ」

達也が桜子をじっと見る。

「お前もちょっと髪いじったるわ。コテ持ってるか?」

桜子は肩先までの真っ直ぐな髪をそのままにしていた。

「藤子お母さんのがあったはずやけど・・・・・」

「先生が終わったらやったるからあっちで用意しとき」
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