さくら


「朝倉に何かされたんか!?」

「何でもない!何にもされてない!泣いてなんかないから!」

「桜子!!」

上から桜子を見下ろす志信の鋭い視線がある一点に釘付けになり、眉間に深く皺が刻まれる。

「離して・・・・・」

いつになく志信が怖くて桜子が両手で志信の胸を押す。

志信がその手を掴み、桜子を壁に押し付けた。

「朝倉と何してきた・・・・・?」

聞いたことのないような低い声で問われる。

「ミュージカル観てご飯食べて、少しドライブしてきただけ」

志信の視線に射竦められる。

知らない・・・・・こんな志信は知らない・・・・・一体何がこんなに志信を怒らせているんだろう。桜子には理解出来ない。




「他の男の所有印なんかつけてオレの前に現れるな!!」

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