千年姫の幻想界
「ぷはぁ~!やっと抜けたー!」
「!?」ガサッ
(あ。)
木々の間からぴょーんと飛び出して来たものが、あまりにも予想外過ぎて、隠れていた茂みを揺らしてしまった。
「えっ!なになに何かいるの!?」
小さなものがじーっと此方を見てくる。
トキヤはというと……混乱して動けずにいた。
何故なら……
その“小さなもの”………“妖精”は、魔界にはいないはずの生き物だから。
バチッ!
此方からも凝視していると、ばっちり視線が合ってしまった。
「「…………」」
束の間の静寂、の後。
「……なぁ~んだぁ!術使いさんだったんだ。
じゃあね~!」
………そう言って、光を振り撒きながら何処かへ飛び去ってしまった。
「え……術使い?」
何だったんだ、今の。
嵐の後みたいな気分だ。
とりあえず、危機ではなかった。
疑問は消えるどころか増える一方だが、先に一夜を明かすことを考えなければ。
俺のレベルで出来ることは?
火……まず火がいる。
そう思いつき、早速呪文を唱える。
「──MαкЁ a fiЯё──
あ……。
そうか……。魔法が、使えないんだ」