千年姫の幻想界
ハッとしてから、危ない状況だと気づいた。
火の起こし方も分からない。
寝床の作り方も分からない。
とれが毒ありか分からないから、木の実もキノコも食べれなかった。
一夜くらい食べなくても平気だし、地面に寝ることだって出来る。
幸い川が近くにあったから水も飲める。
しかし……野獣が現れたときは死ぬかもしれない。
魔法が無いと、何も出来ない。
これは魔法使いとして、当たり前なのかもしれないが……
この時トキヤは、自分自身の無力さを、痛いほどに感じていた。
それと同時に……
魔法が使えない原因が分からず、体の一部がすっぽり抜け落ちたような感覚に苦しむのだった。
そういえば……人間は、どのように生活しているのだろうか。
授業で習った、魔法が無いあの世界。
町があり、人が住み、学校に行く。
山があり、獸が住む。
海があり、魚が住む。
これは魔界と変わりない。
一番の違いは、魔法が有るか無いか。
自力での日常生活は、どのようなものなのか。
機械を沢山使うと聞いたな。
どうやって動かしているのだろう。
魔法無しで……。
──頼むから。
回復してくれ……
俺の魔力──
しかしどんなに願っても、回復せずに朝を迎えるのだった。