千年姫の幻想界
「やっと衣装も決まったし…少し外に出ても良い?」
「そうですね、お供いたします」
草履を履いて、庭に出る。
いつものように、森への一本道を歩いてゆく。
「たまには、町にも行きたいわ」
「成人なさったら、自由に行くことができますよ」
いつものように、たわいもない話をしながら。
「みゃぁーん」
──え?
聞いたことのある鳴き声。
見ると、数日前に華を山まで連れていった、と言うより連れ回した白猫が、足元に擦り寄っていた。
以前、山から帰るときに飼いたいと話していたが、屋敷の近くまで来ると腕から飛び降りて茂みの中に消えていったのだ。
──近くに住んでいるのかしら。
そう思いながら猫を抱き上げ、また道を進んだ。
いつもの泉まであと半分というところまで来たとき、またもや猫は腕から降りて、急ぐように歩いた。
そして、二人を……正確には華を、時々振り返るのだった。
──やはり、この子は分かっているのかもしれない。
四日前の現象も、この猫に着いて行った木々の開けたあの場所に間違いないと思う。
一直線に伸びる光が、頭から離れない。
今回も、この先に何かあるのかしら──